2021.10.29

第五回次世代教育推進委員会の開催

 2学期が始まり、各学校・学級・先生によるICT活用に向けた本格実践が進められる中、第五回次世代教育推進委員会が10月1日にオンライン形式で開催されました。今回は、更なる実践促進に向け、市内の小学校2校の取組紹介や、実際の授業場面等におけるICT活用事例の情報共有が行われました。

1.学校現場のICT利活用推進に向けた取組

 今回の委員会では、まずA小学校・B小学校のICT利活用推進に関する取組紹介が行われました。A小学校では児童スキル向上・環境整備、B小学校では体制構築・教員スキル向上・コロナ対策といった観点で学校全体を通じた取組が行われています。
 委員会では、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と実際に各校のICT利活用を推進する立場の先生から、取組の内容・ポイントについて説明がありました。両校の取組は、「小金井モデル」の確立に向けた、学校全体での取組推進の重要性を再認識する重要な機会となりました。
 本報告では、委員会当日に紹介されたA小学校・B小学校の取組事例について、詳しく紹介させていただきます。

A小学校の取組事例紹介

【児童スキル向上】

  • プログラミング機能活用で低学年からICTスキル向上
  • 「まなポケおすすめアプリ集」作成・夏休み中のICT活用促進

【環境整備】

  • 児童の机に端末を格納し「いつでも使える状態」に

  • プログラミング機能活用で低学年からICTスキル向上

 A小学校では、学年に応じて「まなびポケット」内のプログラミングコンテンツを使い分けることで、タイピングスキル向上・ローマ字習得を兼ねたプログラミング学習を行っています。

 具体的には、1、2年生では「きょうしつでビスケット」の活用により、簡易な絵を描くことでプログラミングに親しむきっかけを提供、3年生では「みんなでプログラミング」を用いることでタイピング練習とともに、ローマ字習得も兼ねた取組を行っています。
 「みんなでプログラミング」は、キーボードの操作ガイドの表示が分かりやすく、初めてコンテンツを扱う児童でもスムーズに練習を行うことが可能です。また、みんなでタイピングのタイム測定機能があることから、ゲーム感覚で楽しみながら学習することで、低学年のICTスキル向上につながっています。

※「みんなでプログラミング」学習場面

  • 「まなポケおすすめアプリ集」作成・夏休み中のICT活用促進

 A小学校では、夏休み期間中にまなびポケットが有効活用されるよう、Chromebookの持ち帰りによる家庭学習推進に向けた取組が行われました。 6月に児童用Chromebookの持ち帰りルールを保護者向けに周知したうえで、希望する家庭において持ち帰りを実施。夏休み期間中に有効にChromebookが活用されるよう、学校で活用されているコンテンツを紹介する「おすすめアプリ集」を作成し、保護者に配布しました。
 1学期に学んだ内容を復習するため「eboard」が活用されたり、学校でのプログラミングの学びを深めるため、「きょうしつでビスケット」等が活用されたりするケースが多く見られました。

  • 児童の机に端末を格納し「いつでも使える状態」に

 A小学校では、毎朝保管庫から各自が端末を取り出し、起動・まなびポケットログイン、机に格納するところまで済ませておくことで、スムーズな授業運営を実現しています。
 これは授業毎で端末準備・起動等を行うと、実際に端末を活用できる状態にするまでに時間がかかってしまい、ICT活用推進の支障になってしまっていたことへの対策として実施されたものです。この対応を行うに当たり、端末の紛失・保管庫のしまい忘れを防ぐため、毎日、各学級の担任が保管庫のチェックを行っています。
 この取組を通じて、児童が机から端末を取り出し、すぐに起動するという習慣ができ、ICT活用頻度が飛躍的に向上しました。

B小学校の取組事例紹介

【体制構築】

  • ICT活用ロードマップ策定
  • 学校内のICT推進協力体制構築

【教員スキル向上】

  • 独自の教員スキルチェック 「スクールタクト検定」実施

【コロナ対策】

  • リモート授業の運用準備、保護者への細やかな情報配信

  • ICT活用ロードマップ策定

 B小学校では、ICT利活用に関する年間ロードマップを学校独自で策定しています。このロードマップは、年度当初に校長先生から発案されたもので、ICT主任が担当となり、策定されたもので、「目指す児童像」を達成するために必要な教員のアクション、保護者への連携事項を月次で設定しています。
 このロードマップの作成により、校内のICT委員・視聴覚委員を基軸として一般教員への働きかけが行われ、段階を経たICT利活用の推進へとつながっています。
 ロードマップの月次の取組内容は、あくまで目安ではありますが、このように目安を設定することで、見通しが立ち、後述の校内協力体制の構築にもつながり、不測の事態が生じた際にも柔軟な対応を行うことが可能となっています。

※B小学校ICT活用ロードマップイメージ

  • 学校内のICT推進協力体制構築

 B小学校では、ICT活用に伴うリスクと対策が定期的に共有され、教員一丸となった連携体制のもと、ICT利活用を推進する風土が醸成されています。
 事前に管理職を含むすべての教員の理解醸成を図ることが年間を通じたICT利活用促進の要と考え、毎月の生活指導会議で都度発生するトラブル事例に基づきICT主任等が説明を行い、ICTモラル・リテラシーの観点でリスク認識と対応策を共有する取組実施や、ICT利活用い関する校内研修への積極参加が推奨されています。
 こういった取組を通じ、ICT推進の全体マネジメントを担う教務主任とICT主任がうまく連携し、ICTを用いるメリットとリスクを双方理解した上で、南小全体としてのICT活用の方向性が共有され、ICT利活用を推進する風土につながっています。

  • 独自の教員スキルチェック 「スクールタクト検定」実施

 B小学校では、教員のICTスキルを可視化する「スクールタクト検定」が実施され、到達度を理解するとともに、教員のスキルに応じた授業づくりへとつなげる取組が行われています。
 この「スクールタクト検定」は、前年度に市内の複数校で構想されていたGIGA検定から着想を得たもので、教員が無理なくスキルアップでき、達成度が可視化される基準としてスクールタクトの活用状況を確認するため、B小学校独自で作成し、今年6月から実施しているものです。
 「スクールタクト検定」に対しては、現場教員の反応も良く、級位別に手順を示していることから確認表を基に自身の到達度を理解しつつ、教員のスキルに応じた授業づくりにつながっています。
 運用当初は、1級到達者は2,3名だったところ、7月のスクールタクト校内研修実施後には、8割超が1級に到達するほど活用が進んでおり、検定の効果が着実に出てきているといえます。

  • リモート授業の運用準備、保護者への細やかな情報配信

 B小学校では、コロナ禍において全教員がオンラインで授業配信ができるスキルを持つことが必要不可欠と考え、 2学期開始直後の研修を通じてzoom授業配信・まなびポケット内で課題を送受信できる準備を始動させています。
 具体的な取組としては、非常時の児童・保護者の不安軽減につなげるための情報発信手段として「ICTだより」の配信を開始しており、まずはプリント配布とまなびポケットを併用した情報発信を行い、今後はまなびポケットでの発信に一元化する予定としています。

2. ICT活用事例の学校間での情報共有

 小金井市では、「小金井市モデル」の構築に向け、BANSHOTへの事例投稿・GoogleChatでの周知を通じたICT活用事例の情報共有を進めています。これまでの委員会においても、先生同士でICT活用事例を紹介し合い、話し合うプログラムを実施しておりましたが、いずれにおいても先生方での活発な議論が行われていたことから、第五回の委員会においても、活用事例の情報共有を行う時間を設けました。
 今回の委員会では、これまで小学校・中学校別のグループに分かれて話し合っていただいていたところ、小中混合のグループ構成とし、進学元の小学校、進学先の中学校の先生同士で話し合っていただく機会を設けました。今後のグループディスカッションにおいても、中学校区別のグループ編成を行うことが、長期的なスパンでのICT利活用推進に向けた学校間連携につながるものと考えています。
 また、今回は各校で本格的な実践が進んでいることから、通常の授業における活用事例以外に、係活動や生徒会活動、学校へ来ることが難しい児童・生徒への活用といった事例についても活発に情報共有が行われました。
 今後もBANSHOTへの事例投稿・GoogleChatでの周知を通じたICT活用事例の情報共有を進め、授業や特別活動での活用事例に加え、先生の「働き方改革」につながる活用事例の紹介が行われる等、様々な点でICT利活用のメリットを実感いただける取組にしていきたいと考えています。

3.今後に向けて

 小金井市では、次世代教育推進委員を中心にBANSHOT投稿・Google Chatを通じた事例共有が進んでおり、今後、この事例共有の取組が市内の全教員へ広がっていくことで、ICT活用率の向上とともに、より発展的・応用的なICT活用実践が行われることが期待されます。NTT Comとしても、活用ログデータ分析による先進的な活用を行う先生の事例発掘・横展開や、「まなびポケット」の複数コンテンツを掛け合わせた活用方法のご提案等を通じて、今後も「小金井モデル」確立に向け小金井市、東京学芸大学とともに取り組んでまいります。