2021.08.17

6月のまなびポケット活用状況

 NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)の稲田です。
 
 小金井市では、NTT Comが提供する『まなびポケット』という学習コンテンツプラットフォームが導入されています。
 私はその『まなびポケット』プロダクトオーナーをやらせてもらっています。
 このサイトでは、小金井市でのまなびポケットの利活用状況について、定期的に記事を書いていく予定です。
 どうぞよろしくお願いしますー

小金井市の活用状況がグラフで見られる

 この記事にも埋め込められていますが、小金井市のまなびポケットの活用状況を、グラフでいつもで見ることができるようになっています。
 グラフで表示されているのは、小金井市全14校(小学校9校/中学校5校)、児童生徒7,935人(2021/4現在)が、日々どれぐらいまなびポケットにログインしているか、です。
 それを「日次」「週次」「月次」で切り替えて見られるようにしつつ、小学校と中学校での活用数の大まかな内訳が把握できるようにしています。とても単純なグラフですが、大まかに教育委員会全体での活用状況を把握することができるようになっています。
(あくまで「まなびポケット」へのログインなので、学習コンテンツを利用しないPC利用などはカウントされていません)

GIGAスクールの活用状況の常時公開は自治体初!?

 「GIGAスクール環境」が全国で整備され、多方面から「利活用」が求められています。が、意外や意外こういう活用状況を常時公開している例は無い気がします。もしかして自治体初でしょうか?
 まあでも、今後活用率が上昇していけば良いですが、なかなか上がっていかないかもしれませんし、場合によっては下がるかもしれない。公開したことで「活用が少ない」だの「もっとこうなるはずだ」ということを言われるかもしれない。そう考えると、公表することは勇気や覚悟がいることなんだと思います。
 一方で、GIGAスクールは本来、多大な公費がかかっています。その模様を市民に対して公開していくことは意義のあることだと思います。

 やるな、小金井市!

 初回なのでヨイショをしておきます(小声)。

小学校と中学校だと、小学校の方が活用率が高い

 表示されているグラフをパッと見ると、小学校のログイン数が占める割合が多いことが分かります。
 ただ、ここで表示されているのは「ログイン数」の絶対数でして、小学校と中学校ではそもそもの児童生徒の人数が違います。そのため、人数割合で見ていく必要があります。
 小学校と中学校のDAU(Daily Active User:日毎の利用している割合)を比較すると、以下のような感じです。

  • 小学校:40.4%
  • 中学校:18.6%

 この数字について、多い/少ないの議論はあると思いますが(この数字はあくまで「まなびポケット」のログイン率のため、情報端末単独での利用やインターネットによる調べ学習、Google Workspaceの利用などはカウントされていません。そのため、情報端末の利用率はもっと高くなります)、少なくとも小学校と中学校で2倍強の差があります。
 この傾向は、特に小金井市特有という訳ではなく、まなびポケットを活用している他の自治体でも同様の傾向が見受けられます。
 少し古いデータですが、ベネッセ教育総合研究所の「第6回学習指導基本調査 DATA BOOK [2016年]」でも、ICT機器の利用状況、特に児童・生徒が情報端末を活用する場面については、小学校が中学校を大きく上回っています。

 中学校は専科制のため授業スタイルが確立されているケースが多くICT活用が進まない、受験の影響がある、など言われたりしていますが、コレ!という研究結果などは見た記憶がありません。
 一方で、まなびポケットを活用している学校のなかでも、もの凄い活用率の中学校も数多くあり、また私学の先進校での活用状況を見ると、むしろ中学校以降で本領を発揮している感もあります。ここはもう少し深掘っていって、活用率向上の方策を考えていく方が良さそうです。

もう少し詳細の活用状況を見ていく

 各日・各校の利用状況を見ていくと見えてくるものがあるかも、と思って、生データを確認・加工してみました。

上記の表の見方は以下です。

  • 行が日付。6/1~30の平日だけ抜き出し。
  • 列が各学校。左の9列が小学校、右の5列が中学校。
  • ログイン率が20%未満が青く、30%以上になると赤くなる。
    ※30分で作った簡易分析、、閾値はエクセルの「条件付書式」のデフォルト設定

 こうやって見てみると「中学校より小学校の活用率が高い」という全体傾向は変わらずですが、一方で「小学校のなかでも活用率に学校によって5倍以上の差がある」「中学校でも半数以上の小学校より活用率が高い学校がある」などが見えてきます。

  • 継続的に活用率の高い学校はどんな取り組みをしているのか(それを別の学校に横展開できないか)
  • 活用率が伸びてきている学校は、何かきっかけがあったのか
  • 日々の活用率が低い学校も、活用率が高い日もあるがどんな取組をしていたのか(またはその後活用が進まないということは、そこで何かトラブルがあったのか)

などなど「まなびポケットのログイン率」という単純な数字からでも、各校に合わせた支援のあり方を考えるキッカケになってくるように思えます。

さらに細かい利用状況も把握できる

 ちなみにまなびポケットのなかでは、さらに細かい利用状況を把握することも可能です。学校単位だけでなくクラス単位、先生・児童生徒個人単位で、かつ学習コンテンツごとの利用状況をリアルタイムで把握することができます。画面のイメージとしては以下のような感じです。

 従来は、全校一律の支援(ICT支援員が行くのは各校2週間に1回など)や、支援依頼があったら訪問するような受動的な支援が多かったように思えます。
 これらの情報を踏まえ、今後は少しでも学校や先生、クラスに応じた支援を行っていけるようにしていきたいと考えています。

 まずは、データから見て学校全体で活用を進めてくださっている学校をより分析し、そのうえでヒアリングなどもさせてもらって、活用を横に広げていく試みなどをやっていくことになるのだと思います。

 次回は7月の活用状況でのレポートでしょうか。
 その間にもいくつか、学校としての取組や教育委員会での活動などのレポートが公開されていくと思います。是非、そちらもご覧いただけたらと。

 ではまたー。